くじら

僕は小学生のとき、体が大きかった。
けんかでも負けたことはなかったし、友達は僕に逆らったりしなかった。
僕の周りにはいつも友達がたむろっていた。
でも上級生とけんかして帰ったある日、お母さんがいった。


「ゴジラじゃなくてクジラになりなさい。」


そのとき僕はお母さんの言葉の意味がわからなかった。
だけど遠足で水族館に行ったとき、僕はなんとなくお母さんの言葉の意味が理解できた気がした。
広い水槽の中で他の魚たちと一緒に、くじらはゆったりと泳いでいた。


それから僕はけんかをしなくなった。
僕の周りにはいつも友達がいてくれるようになった。


何でくじらだったんだろう。
何で僕はくじらからそんなメッセージを受け取ったのだろう。


そんなことを考えるようになったときには
友達はどんどん僕の身長を抜かしていった。

僕はもう大きい体はもっていないけど、
くじらみたいな心は誰にも抜かされないよ。
2011年04月26日 | Comment(1) | 短編
この記事へのコメント
◇くじらについて

大学時代に書いたお話です。
2006年の5月頃、当時やっていたブログに掲載しました。
Posted by ゆきな at 2011年04月26日
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